床からの立ち上がりが難しくなった時の対処法

高齢になると、いつしか床からの立ち上がり動作が難しくなり、畳に座る機会が少なくなる人も多いですね。最近は、椅子の高さに合うこたつもよく活用されており、床に座らなくても冬は暖かく過ごすことが可能になるなど、家具もニーズに合わせて変わってきています。畳の上に敷いたお布団からベッドに変わり、居間で過ごす時間は畳ではなく椅子に座り…と、高齢になると毎日の暮らし方に変化があるのは自然なことかもしれません。しかし、昔ながらの畳の上が一番落ち着く、という人にとっては、床からの立ち上がりという問題を解決する必要があるでしょう。ここでは、床からの立ち上がりが難しくなった時に活用できる立ち上がり方法や便利な道具についてご紹介します。

立ち上がり介助

どうして高齢になると床からの立ち上がりが難しくなるの?

 若いうちはあまり意識しないかもしれませんが、高齢になると床からの立ち上がり動作は難易度が高くなると言われています。特に、介護が必要な方や体力・筋力が低下してきた方にとっては、不安のある動作とも言えるでしょう。床からの立ち上がりを難しくする要因には、以下のようなことが考えられます。

・膝が曲がりにくい、膝を曲げると痛い

・筋力が弱くなり踏ん張りがきかない、立ち上がるための力が出にくい

・バランスを保つ力が弱くなり、ふらついてしまう

・体の痛みにより時間がかかる

・柔軟性の低下によって体をひねったり横座りが難しい

・麻痺や骨折等によってできない動作が増える など

 畳や床に座っての生活が好きな人にとっては、できるだけ長く床に座る生活を維持したいものですね。もし、「だんだんと難しくなってきたな」と感じたら、必要に応じて便利な道具を活用するのもひとつの方法です。

 

床からの立ち上がり方法

高齢者にとってやさしい床からの立ち上がり方法とは

まずは、特別なものを用意しなくてもできる床からの立ち上がり方法について押さえておきましょう。

椅子など安定した支えを使う場合

脚力にすべて頼るよりも、椅子を使うと無理なく床から立ち上がる動作がスムーズに行いやすくなります。

 

 

自分の力で床から立つ場合

 

 いずれにしても、慌てずにゆっくりと行うことが大事です。無理に急いでしまうと、膝を痛めたり、ふらついて転んだりといったリスクが高まります。また、麻痺や骨折等で制限がある場合は、リハビリの専門職等にアドバイスをもらいましょう。

 

床からの立ち上がりを家族がサポートする場合

よく、床からの立ち上がりの介助として、本人の背中側から脇に腕を通し、丸抱え状態で立ち上がらせる方法を見聞きします。確かに、普段床に座った生活をしない人が椅子やベッドから落ちてしまったり座り込んでしまったりしたときには便利な方法かもしれませんが、介助者の負担がとても大きいのが難点です。このような介助方法は、本人の「立つ力」も引き出せず、すべて介助者の力で支えなければなりません。

できれば、先程ご紹介した順序で、その動作を家族が促したり支えたりしながらサポートできると、介助する人の負担を少なくすることができるでしょう。

 

床からの立ち上がりを助けてくれる便利な道具も活用しよう

もし、自分の力だけで床からの立ち上がりが難しいと感じるようになったら、便利な道具を活用するのも良いでしょう。

据え置き型の立ち上がり補助手すり

福祉用具や寝具メーカー、家具メーカーなどから販売されている、床に置けるタイプの手すりは、家中のどこにでも設置できるため便利です。壁に取り付けるタイプの手すりまで距離がある場所で重宝します。ビスで取り付けるタイプではないため、ある程度の重量がありますが家のあちこちに持ち運ぶことができます。お布団やベッド脇、お仏壇のそば、居間など、本人が床から立ち上がる必要がある場所に置いておくと良いでしょう。

突っ張り型の手すり

天井と床で突っ張って設置できる、ポールタイプの手すりです。狭い場所などでもポール1本なら設置しやすいですね。

昇降座椅子

電動の昇降座椅子なら、必要時に座面を椅子の高さくらいまで電動で上げることができるため、床からの立ち座りが難しい人にもおすすめです。電動なので、操作ができるかどうかもポイントになるでしょう。また、一般的な座椅子に比べるとやや大きく重たいため、その点についても注意が必要です。

母親・住宅介護・相談

 床からの立ち上がりが難しいと感じたらプロに相談するのもおすすめ

病気の後遺症や骨折の術後の状態によっては、床からの立ち座りが一般的な方法で行えないケースもあります。また、徐々に床からの立ち座りが難しくなった場合は、全身の筋力低下などが影響している可能性も高く、介護予防を行っていく必要も出てくるでしょう。ここでご紹介した便利な道具は、介護保険を使えば安価でレンタルできる可能性があります。床からの立ち上がりが難しくなったら、介護保険の利用を考えたり相談してみるのもおすすめです。