老人ホーム入居で家具を持ち込む場合の選び方

介護施設の中には、家具を持ち込んで入居できるところと、備え付けの家具を使って生活するところがあります。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、グループホームなどは、自分が家で使ってきた家具を持ち込むことができ、慣れ親しんだものを使い続けられる点が特徴の1つです。ここでは、家具の持ち込みができる老人ホーム等に入居が決まった場合、どんな家具を選ぶべきなのか、そのポイントについてご紹介します。

まずは施設側に確認をしてみよう

「家具は持ち込めますよ」と言われる場合でも、必要最低限の家具は既にお部屋に備えてあることは珍しくありません。その代表例は、ベッドです。他にも、さほど大きくはなくてもタンスがあったり、タンスの代わりにクローゼットがあったりする場合も。1人用の机と椅子が置いてあることもあるでしょう。

まずは、施設側に必要なもの・用意すべき家具を確認してみましょう。必ずあった方が良いもの・そうでないものを整理して考えることができると、お引っ越しも楽になります。自宅から持ってくることが困難な場合は、レンタル品があるかどうかも確認してみてはいかがでしょうか。

実は、介護施設には持ち込み禁止となっているものもあるため、併せて確認しておくと安心です。例えば、刃物やマッチ・ライター、ガスコンロなどの火気器具、ロウソクや線香などは持ち込み不可でしょう。

 

入居前に必ず部屋の見学も済ませておこう

居室の広さによって、持ち込む家具のサイズや量も変わります。基本的に、老人ホーム等の居室は20㎡くらいが主流でシンプルな間取りをしていますが、念のために確認をしておきましょう。

コンセントの位置や扉の幅にも要注意です。

「せっかく用意したのに部屋に入らない・使えない」といった失敗がないように気をつけましょう。

 

実際に老人ホーム等へ家具を持ち込む場合、自宅で使っているものや家具店で選ぶこととなりますね。ここで重要なのは、「安全性や快適性が確保できるかどうか」です。ご高齢の方や車イスに乗っている方が使いやすいかどうか、頑丈で安全かどうか、という視点で判断する必要があります。

転倒を招くものは避ける

キャスターが付いていて容易に移動できるものや、軽くて持ち運びやすいものは、普通に考えればとても便利です。しかし、高齢者の家具としては不向きと言えます。なぜなら、足腰の不自由な高齢者は、家具を支えに移動しようとする場面が少なくないからです。杖などで歩けている人でも、咄嗟にふらつくことがあります。そんな時、ガッシリとした家具なら安心ですが、支えにならない家具につかまると転んでしまう可能性があります。

大きさは「車イスでも通れる」ものを

家具が大きすぎると、邪魔になってしまうことがあります。今はおひとりで歩ける状態であっても、いずれ押し車や車イスを使用するかもしれない、という観点で選んでおくことが大事です。

車イスを使って、安全に移動するために必要な幅は最低でも80cm。快適に自走するには90cmは欲しいところです。部屋の中では、転回することもあるでしょうから、そのことも考えて家具をびっしり置かずに広いスペースも確保しておきましょう。

高齢者が使いやすいものを

高齢になると、足腰が不安定になるだけでなく、目が見えにくくなったり筋力が落ちたり、指先の細かな動きが難しくなったりします。家具は、できるだけ使いやすいものを選んであげましょう。

本人が大切にしているものも持ち込もう

老人ホーム入居という、大きな環境の変化にストレスを感じない人はほぼいないでしょう。慣れるまでは、不安を感じる方も少なくありません。特に、認知症のある方は、その状況を理解するまでに時間がかかったり、混乱したりしやすい状態にあります。

レイアウトはスタッフの助言をもらって決めよう

家具の配置は、なんとなく適当に決めるのではなくて、入居されるご本人の生活を想定しながら慎重に決めていく必要があります。移動しやすいスペースが確保できるかどうかはもちろんですが、扉がしっかり開くかどうか、使いやすい場所にあるかどうかを考えましょう。

色々な場面を想定して、ご本人が部屋の中でどう動くのかシミュレーションしてみるのもおすすめです。なかなか想像しにくかったら、施設スタッフの方にアドバイスをもらうのも良いでしょう。

老人ホームの家具は様子を見ながら設置するのもおすすめ

入居時に、必ず持ってきてくださいと言われる家具以外は、入居後の様子を見ながら充実させていくのも良いでしょう。ご本人やスタッフの方に不自由がないか聞きながら、必要に応じて揃えていくと失敗を防ぐことができます。家具選びは、ご本人が暮らす生活の場を充実させる上で重要です。愛着のあるもの、慣れ親しんだものを中心に選び、住まいが変わっても安心して暮らせるお手伝いをしてあげましょう。