座っているのに疲れるのはなぜ?その理由と疲れにくい座りかたについて
「座っているのに疲れるのは、正しく座れていないからだ」と思っていませんか?確かに、猫背などの姿勢で長時間座り続けることは、背中の筋肉が張ったり内臓が圧迫されたりして、体への負担も大きくなるでしょう。
しかし、たとえ美しく正しい姿勢で座っていても、それを長時間キープすることは想像以上に難しいものです。特に、ご高齢の方にとっては、正しい姿勢で座ることも大切ですが、疲れにくい状態で座ることも同じくらい重要ではないでしょうか。
ここでは、正しい姿勢で座っても疲れてしまう理由や、疲れにくい座り方、疲れにくい椅子の選び方についてご紹介します。
椅子に座っても疲れる理由
立ち続けるのと、椅子に座り続けるのとでは、エネルギーの消費量が違います。そのため、単純に立つのと座るのを比べると、やはり立った方が疲れやすいと言えます。しかし、座っていても腰や肩が痛くなったり疲れたりして、「横になりたい」と思うこともありますね。
何気なく椅子に座っていると、以下のような理由で疲れやすくなることが多いです。
・頭が前傾して背中が丸まり筋肉の張りや内臓が圧迫される
・椅子が自分に合っていない
・体圧が偏っている
このように、椅子に座っていて疲れる原因は、自身の姿勢の悪さや椅子選びに問題がある可能性が高いです。
しかし、たとえ椅子選びが適切で、正しい姿勢で座っていたとしても、疲れてしまうことがあります。椅子選びや姿勢に気を付けたのに、疲れてしまうようでは意味がないと思われるかもしれません。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。
正しい姿勢で座っていても疲れてしまう理由とは
「正しい座り方」を調べてみると、おおよそ以下のようなことが紹介されています。
・浅めに座って骨盤を立てて座る
・足の裏を床につけて、太ももが圧迫されない高さに調節する
・膝や股関節は90度の角度が理想的
・背筋をピンと伸ばして頭を前に倒さない
・肩の力を抜いて顎を引く
たとえ介護が必要になっても、こうした姿勢が保てるだけで出来ることは増えます。安全に食事がとりやすくなったり、呼吸がしやすくなったり、体の傾きによる痛みが少なくなったりなど、メリットも多いでしょう。
しかし、実際は、こうした正しい姿勢で座り続けることは、若い体力のある人たちでも難しく、無理をして正しい姿勢を保ち続けようとするとかえって腰痛や肩こりなどにつながることもあります。
同じ姿勢を保つこと自体が疲れる
正しい座り方を試してみると、はじめは簡単だと思っていても、だんだんと疲れてくることが実感できます。
なぜなら、私たちの体は、その構造上、ずっと同じ姿勢で座るようには出来ていないからです。同じ姿勢を続けていると、筋肉は固まってしまいます。崩れた姿勢と正しい姿勢とでは凝りやすい部位が異なるかもしれませんが、本来柔軟であるべき筋肉が固まると、人は疲れます。
「正しい姿勢で座る」ことと「疲れにくい」ことを両立させるには
正しい姿勢を保ちつつも疲れにくい状態で座ることを両立させるには、いくつかの準備が必要です。もちろん、意識的に随時体を動かして疲れを軽減できているのであれば、そのままでも良いでしょう。
しかし、自分で体を動かすことが難しい高齢者や、ついつい崩れた姿勢で長時間座ってしまいがちな人は、以下のポイントを参考にしてみると楽になる可能性があります。
背もたれを上手に活用する
背もたれは、上半身を安定させ楽に座るためにあります。一般的に言う「正しい座り方」では、椅子に浅く座って背もたれにはつけないと紹介されることもありますが、疲れにくく良い姿勢を保つことを考えるとしっかり活用した方が良い場合もあります。
ただし、背もたれに身を預けすぎて後傾してしまうと、正しい座り姿勢にはなりません。バスタオルをくるくると丸めたものを、背もたれと背中の間に挟んで、しっかりと深く座ると骨盤が立った状態で座りやすくなります。
圧力を分散しほどよい固さがある座面の椅子を選ぶ
お尻の骨が座面に当たって痛くなり、座る姿勢が崩れてしまう方も多いです。座面に使われている素材に着目し、圧力が分散できるものなら特定の部位に負荷がかかりすぎず快適です。
柔らかすぎる座面は、一見気持ちの良いものと思われるかもしれませんが、お尻が深く沈みすぎて姿勢を直したり立ち座り時に力が入りにくくなるといった問題もあるため、ほどよい固さも必要です。
自分の体格に合った椅子を選ぶ
椅子は、高さや横幅も重要です。体格に合わない椅子は正しい姿勢を保ちにくいことを考慮し、自分の体格に合うものを選びましょう。机も使う場合は、机の高さにも注意が必要です。
正しい姿勢で座るには適度に体を動かすことが大切
どんなに正しい姿勢で座っていても、それを長時間続けることは困難で疲れます。時々は体を動かしたり軽い体操をしたりして、筋肉が固くならないようにリセットすると良いでしょう。
また、正しい姿勢を保ちやすい椅子を厳選することも大切です。デザインや価格だけを見るのではなく、サイズや素材にも着目して自分に合う椅子を選びましょう。