座るとおしりが痛い…その原因と解消法

座ることは、本来ならラクな姿勢、あるいは負担の少ない姿勢という風に捉えられていますよね。でも、座りすぎることや、座る姿勢によっては、おしりの痛みや腰の痛みにつながり、苦痛を感じる人もいます。要介護者にとっては、座ることが痛みにつながると、余計に寝たきり状態を招きかねない重大な問題にもなります。ここでは、座っておしりが痛いと感じる理由と解消法をご紹介します。

座っておしりが痛くなるのは、高齢者ばかりではない

 

「座ったらおしりが痛い」と聞くと、椅子の座面が固いのかな?と体の内部ではなく外側に問題があるのだと認識するかもしれません。確かに、それも1つの原因にはなるかもしれませんが、それは椅子を変えれば解決する話です。

しかし、座っておしりが痛くなる原因は、他にもたくさんあります。これは、決して高齢者に限ったことではなくて、若い世代にも起こりがちな問題です。特に、デスクワーク中心の仕事をしている方や、いつも座って過ごす時間が長い方は注意が必要。既に、おしりに痛みを感じる方は、これ以上悪化しないように対処が必要です。

座るとお尻が痛いときよく診断されるのが「坐骨神経痛」

 

お尻や太もも、ふくらはぎにかけて痛みやしびれがある場合、病院に行くと「坐骨神経痛です」と言われることがあります。坐骨神経痛は、座っている間だけ痛みが出る、というわけではありませんが、座った時のお尻の痛みを考える時に、疑うべきもののひとつです。

坐骨神経痛は、坐骨神経に沿った痛みがある場合に用いられる症状の名前です。実際は、腰椎椎間板ヘルニアや、腰部脊柱管狭窄症などの病気がきっかけになることもあり、診察や検査を受けた上で判断されます。

ただ、坐骨神経痛は運動不足や姿勢の悪さが原因となることもあり、これらが原因の場合は自分で対処することが可能です。

運動不足を解消して筋力の衰えを防止しよう

 

おしりの筋肉は、運動をしなければ硬くなってしまいます。ただでさえ、加齢によって筋肉は硬くなるのに、運動不足によってそれが加速するのは避けたいですよね。筋肉の弾力性が失われると、体を痛めやすくなったり、骨への衝撃が伝わりやすくなったりして痛みを感じやすくなります。おしりの筋肉維持のために、負担の大きいトレーニングは必ずしも必要ではありません。普段から、ウォーキングをする、ストレッチをする、軽めの運動で汗を流すなど、座りっぱなしや寝たきり状態を改善すると良いでしょう。

座る姿勢を見直してみよう

 

悪い姿勢で座る癖がついていると、腰を痛めて坐骨神経痛につながることも珍しくありません。正しい姿勢で座るポイントは、以下の通りです。

  1. 足の裏は全面を床につける
  2. 膝は90度の直角で曲がる高さにする
  3. 左右のどちらかに体重が偏らないように意識する
  4. 姿勢を保つことが難しい人はクッションを挟む
  5. たびたび「立つ」「歩く」などして座りつづけない

特に、高齢者の場合は、坐骨神経痛の痛みに悩む人が多いです。医療での解決も大事ですが、ふだんの生活の見直しと合わせて改善を目指しましょう!

こんな姿勢はおしりの痛みを引き起こす

 

自分がふだん、どのような姿勢で椅子に座っているのか、あまり意識する機会は少ないかもしれません。長い時間座っていると、他に意識が向いて、無意識に姿勢が崩れてしまうなんてことは、よくあることですよね。もし、以下のような姿勢になっているのなら、正しい姿勢で座れるように直していきましょう。

  • ずっこけ座り

浅く座り、背もたれに身を預ける座り方は、「ずっこけ座り」と呼びます。この座り方は、仙骨(せんこつ)という、おしりの奥の骨に負担をかけて、腰にも余計な負荷がかかるため要注意です。いつもこの姿勢で座っていると、やがて腰の負担が蓄積して、腰やおしり周りの痛みにつながります。

  • 猫背で前屈み

パソコンやスマホなどに夢中になると、顎や首を前に出して猫背になり、ずっと背中が丸まった状態になりがちです。この姿勢は、首にすごく負担がかかります。正しい姿勢をとれば、重い頭を体全体で支えることができますが、猫背で前屈みになると頭の重みがすべて首にかかってくるからです。首のコリや痛みはもちろん、腰への負担も蓄積する原因になります。

  • 足組み

どうしても、足を組まないと落ち着かない、油断すると足を組んでしまうという人も多いのではないでしょうか。こういう人は、だいたいいつも同じ方の足を組んでいることが多く、骨盤が歪む原因に。骨盤が歪むと、腰や腰周りの筋肉に負担がかかり、痛みを起こす原因にもつながります。

正しく座る・座りすぎないことを意識してみよう

 

正しい姿勢で座ることは、体の痛みを起こす原因を遠ざけ、筋肉の硬化や骨への負担を和らげてくれます。また、見た目もとても良く、若々しさや美しさにもつながります。椅子に座るときは、深く腰をかけて骨盤を立て、上半身は立っている時と同じような感覚が保てるようにしましょう。PCやスマホ、本などを見るときは、頭はできるだけ正面を向き、覗き込む姿勢をつくらないことが大事です。

立ち座りしやすい、お尻が痛くなりにくい椅子を利用するのも一つの手です。また、介護が必要な方は必要に応じてクッションを活用しながら、座りっぱなしにならないようにしましょう。机を支えにして、立つ・座るという動作をこまめに取り入れるだけでも、座りっぱなしを防ぐことができますよ。