シニアの視覚環境は木製家具で快適に
高齢になると、視力の低下や視野の狭まりなど、視覚にさまざまな変化が現れます。自宅内でも見えづらさから、ヒヤリとした経験がある方も多いのではないでしょうか。
日々の暮らしを安心して過ごすためには、視認性の高い家具を選ぶことが大切です。木製家具は高齢者にとって馴染み深く、その温かみとシンプルなデザインで、視覚的にも心地よい空間を作り出すのにぴったりです。さらに、木材の色合いや質感は、照明との組み合わせによって、空間に奥行きや立体感を生み出し、視覚的な認識を助ける効果も期待できます。
この記事では、木製家具の色、デザインなどの工夫を通じて、シニアの視覚環境を快適にする方法をご紹介します。
目に優しい木製家具の色とは?木製家具の色調選びのポイント
木製家具の色調は、視覚的な快適性に大きく影響します。ここでは、木製家具の色調選びのポイントをみていきましょう。
温かみのある明るい色調の木製家具
暖色系の木材は目に優しく、お部屋全体を明るく開放的な雰囲気にすることが特徴です。圧迫感を軽減し、柔らかさを感じさせ、リラックス効果も期待できます。
特に、1日を長く過ごすリビングや寝室に暖色系の木製家具を取り入れることで、心身ともに落ち着いて過ごせる空間になるでしょう。
色調の組み合わせで心地よいメリハリを
同じ色調の家具で揃えると、お部屋がぼんやりしてしまい目が疲れてしまうことも。さらに、家具の輪郭が認識しづらくなり、家具にうっかりぶつかってしまったり、つまずいたりしたりすることも少なくありません。
そこで、色調の異なる木製家具を組み合わせることで、お部屋の中に心地よいメリハリが生まれます。
例えば、床の色よりも濃い色の木製家具を配置することで、家具の輪郭がはっきりし、単調になりがちな空間に奥行きと立体感を与えます。目の疲れも軽減され、家具の配置や形状がはっきりと分かるようになるため、安心して過ごせるようになります。
色調のコントラストで視認性アップ
年齢を重ねると、色の識別がしづらく、明るさに敏感になる方もいらっしゃいます。色調に変化がないと、距離感が分かりにくくなり転倒などの事故につながる恐れがあります。
特に、座面と背もたれ、または座面とテーブルの色のコントラストは、視認性を高める上で重要です。色の差をつけることで、座る位置やテーブルとの距離が視覚的に分かりやすくなり、移動や立ち座りの際の安全性が高まります。
例えば、以下のような組み合わせがおすすめです。
・明るいベージュの座面に、濃いブラウンの背もたれ
・落ち着いたグリーンの座面に、明るいナチュラルウッドのテーブル
色のコントラストがはっきりし、視認性を高めるだけでなく、お部屋のアクセントにもなるでしょう。
安全・快適な木製家具のデザイン
ここでは、高齢者の安全・快適な生活をサポートする木製家具のデザインについてみていきましょう。
安心と優しさをもたらす家具
毎日を過ごす部屋を安心できる空間にしたいという方は、木製家具のデザインにも配慮してみてください。
角の尖った家具は、転倒した際の怪我のリスクを高めるため、テーブルや椅子は角が丸いものがおすすめです。さらに、角が丸い家具はデザイン的にも柔らかく、お部屋を温かみのある空間にし、触れた時も心地よいでしょう。
また、フラットで平らな表面を選ぶことで、視覚的な障害物を減らし、お部屋全体をすっきりみせてくれる効果が期待できます。フラットな天板ならさっと拭きやすく、いつでも清潔に保つこともできますね。
広々とした空間でストレス軽減、シンプルデザイン
視覚的な情報が多くなると、疲れやすくなったり、落ち着かないと感じたりすることがあります。そこで、装飾が少ないシンプルな木製家具を取り入れることで、お部屋に開放感を与え、生活空間が広く感じられる効果が期待できます。
優しい木目は、目に優しくストレスを軽減し、心身ともにリラックスして過ごせるでしょう。「シンプル過ぎたかな」と感じる方もいますが、木製家具は使い込むほどに味わいが増し、より温もりを感じられるようになるのも魅力の1つです。
「見え方」を考慮した木製家具で明るく安全な空間づくり
年齢を重ねると、明るさの変化や特に夜間の視力が低下したりする場合があります。そのため、見やすさや使いやすさを考慮した配置が重要となります。
ここでは、木製家具の配置や使いやすさのポイントについてみていきましょう。
自然光を活かした配置
木製家具は自然光を受けて、色合いや質感が美しく際立ちます。部屋の窓際に木製家具を配置することで、部屋全体を明るくし、視認性を高めることができるでしょう。
また、お部屋が暗いと感じる場合、つい照明を明るくしがちですが、強い光は目が疲れやすくなるのがデメリットです。特に高齢の方は眩しさに敏感なので、照明の明るさには注意しなければいけません。
そこで、木製家具が自然光を柔らかく反射するという特徴を生かしましょう。お部屋を自然な明るさに保ちながら視認性を高めてくれるので、目の疲れを軽減し、快適に過ごせるようになります。
視認性と使いやすさを工夫
木製家具を選ぶ際は、毎日の動作をスムーズに行えるよう、使いやすさを重視することが大切です。高齢になり細かい動作が難しくなった方にとって、使いにくい家具は思わぬ怪我につながる恐れがあります。
そこで、以下のような木製家具を選んでみましょう。
・高さ調節機能
引き出しや棚の高さを調整できる木製家具は、立ったまま、または座ったままでも、楽に出し入れができます。また、中も見やすくなり、探し物の負担も減らすことができるでしょう。
・視認性の高い取っ手
大きいものや色が濃い取っ手がついた木製家具は、視認性が高く、取っ手の位置を把握しやすくなり、安全性と使いやすさが向上します。また、大きい取っ手は握りやすいため、力の弱い方でも開けやすくなるでしょう。
木製家具の視認性と使いやすさを考慮することで、安全性を高め、毎日の暮らしをより快適なものにしてくれます。
木製家具で心地よい空間に
高齢になり、「目が見えにくくなった」「光が眩しく感じるようになった」という方は、目に優しい木製家具を検討してみてはいかがでしょうか。
木製家具は、ご高齢の方の目に優しく、日常生活の不便さや転倒などを防止するだけでなく心身への安らぎにもつながります。
ぜひ今回ご紹介したポイントを参考にしながら、木製家具の色やデザイン、配置などを工夫し、快適な視覚環境を整えてみてください。