高齢の方の孤独感を和らげる部屋づくり
高齢になると、足腰が弱くなり出かける機会が減り、友人との交流も少なくなるなど、孤独感を感じる方が少なくありません。そばに家族がいても、いなくても、少なからず孤独感を感じる方は多いと思われます。
では、できるだけ高齢者が孤独感を感じずに暮らすために、どのようなことができるのでしょうか。考えられる対策は色々とありますが、今回は、家具の選び方や配置の工夫による孤独感を和らげる方法についてご紹介します。
高齢者は家族がいても孤立感を感じることがある
孤独感は、単に周囲に人がいないという状態でのみ感じるとは限りません。誰かの役に立つ機会が減った、家事が難しくなったなど、自分が必要とされている実感が持てなければ、心の孤立はさらに加速するかもしれません。
家族として、一緒に過ごす時間を増やすのも良いでしょうが、仕事や家事、ご自身のリラックスタイムも確保することを考えると、つきっきりというわけにはいきませんよね。
そこで、対策の1つに、環境面の工夫をおすすめします。家具の選定や配置によって、高齢者が孤独感を感じにくくなることがあります。具体的に、見ていきましょう。
人との「つながり」が生まれる家具配置を考える
要介護状態にあり、ベッドから起き上がって過ごすことが難しい方は、特に孤独感を感じやすいでしょう。そんな方には、テーブルや椅子のサイズや配置を考えて、会話がしやすい状況をつくりましょう。
例えば、ベッドサイドには小さめな木製の収納ユニットやサイドテーブルがあると便利です。 ベッドに寝たままの状態で、立った状態のお客さんと話すのは、心の距離を感じてしまうかもしれません。訪れた人がゆっくりと椅子に座り、目線を合わせられる高さにいるだけで、心が落ち着くものです。また、必要な時だけ広げていつもはコンパクトに使うことができる、伸縮テーブルもおすすめです。
リビングやダイニングで家族一緒に食事する場合は、できるだけ高齢者が家族全員の顔を見やすい位置に座れるようにしましょう。こうすることで、自然と家族の顔を見て会話に参加しやすくなります。
動きやすい環境をつくる
立ち上がりやすい椅子や、ベッドから起き上がりやすい手すり、リビングまでの安全な動線の確保などにより、高齢者自身が介助されなくても動けるという状況がつくれるかもしれません。
介助をしてもらわずに自分で動けることは、高齢者にとって非常に重要です。自立した生活は、尊厳を守り自己肯定感を高めることにつながります。自己肯定感が高まると、孤独感も和らぐでしょう。
外の世界とのつながりを感じる工夫をする
家の出入りが難しい状態でも、窓の外を眺める程度なら動ける方はたくさんいます。窓をあけて、外の空気に触れたり、虫の鳴き声を聞いたり、風景をみることは、気分転換にもなり気持ちの良いものです。
家の中にいても、外とのつながりを絶たないようにすることで、高齢者の孤独感がやわらぐことがあります。日中にお日様の光を浴びてしっかり目覚めることは、生活リズムを整えることにもつながります。
高齢者が趣味を楽しめる環境をつくる
何かに夢中になっている時間は、孤独感を忘れ、充足感をもたらします。できるだけ、趣味が楽しめるような環境を整えるのも1つの方法です。
例えば、手芸が好きな方には、長時間座ってもつらくなりにくい椅子、高さの合う作業テーブルを用意してみてはいかがでしょうか。道具を収納した棚が手の届く位置にあると、さらに良いですね。
まずは、どんなことに興味があるのか、どんなことに挑戦してみたいのか、じっくり話を聞いてみると良いでしょう。
自然のアイテムを取り入れる
木製の家具は、それだけで自然の温かみがあり、穏やかな気持ちにさせてくれます。テーブルや椅子、タンス、棚など、木製のものを中心に置いておくと、ガラスやステンレスなどに比べて明るく温かみを感じやすい空間になるでしょう。
木製家具は、布との相性も抜群です。色合いの綺麗なファブリックが使われた家具などはアクセントにもなり、好みに合う部屋づくりが行いやすくなります。
木製の棚に飾るなら、観葉植物がおすすめです。木の質感と、自然そのものの緑が融合することで、より穏やかな気持ちの良い雰囲気となるでしょう。家族揃って撮影した写真を飾るのも良いですね。
家具の種類や配置を見直して孤独感を和らげよう
高齢者の孤独感は、単に家族との時間・友人との時間を増やすだけでは解消されない可能性があります。家具の配置を見直すだけで、外とのつながりが感じやすい部屋となり、安心感をもたらすこともあるでしょう。
また、家具の素材にこだわることで、より温かみのある空間をつくることができます。こうした安心感や温かみは、孤独感を和らげる重要な要素です。ぜひ、取り入れてみませんか。