動ける人でも床擦れは起こる!座りっぱなしや合わない椅子に座り続けるリスク

床擦れと聞くと、寝たきり状態の人が注意すべきものだ、というイメージを持たれる方が多いと思います。確かに、自分で身体を動かすことが困難な人ほど、床擦れのリスクは高まります。しかし、その一方で、動ける人でも床擦れができることがあります。ここでは、高齢者が気を付けるべき床擦れについて、その仕組みや合わない椅子に座るリスク、そして予防法についてご紹介します。

 

まずは確認!床擦れができる仕組み

 床擦れは、長時間の圧迫によって起こる、皮膚の傷やただれ、潰瘍のことを指します。寝たきりなどで体を動かさないまま長時間が経過すると、体重のかかる部位をずっと圧迫することとなり、血流が悪くなります。すると、皮膚などの細胞に必要な酸素や栄養が届かなくなり、細胞が壊れて傷になってしまうのです。

 

床擦れができるのはどこ?

床擦れは、特に体とベッド、椅子、床などが接する場所にできやすいです。寝たきりの方であれば、寝た状態で特に体重がかかる部分が要注意。たとえば、おしりや肩甲骨、後頭部、かかとが代表的です。横向きに寝る時間が長ければ、肩、肘、太ももの付け根の外側などによく見られます。

 

床擦れが進行するとどうなるの?

 床擦れは、短時間のものなら皮膚の赤みが見られる程度で、圧迫を無くししばらくすると元に戻ります。しかしそのまま圧迫し続けると、赤みが消えなくなり、かゆみや水ぶくれ、アザが出始めます。

 さらに進行すると、傷ができたり皮膚がめくれたりして、どんどん傷が深くなっていきます。床擦れの重症度は、この傷の深さで程度が決まります。重症になると、傷の深さは骨まで達することもあり、傷はどんどん大きく深くなっていきます。

 この傷口からバイ菌が入ると、そこから感染症を起こして全身状態が悪くなる危険性もあります。床擦れは、ほんの少しの傷だと油断していると、命に関わる大きな傷になりかねないため注意が必要です。

 

歩けるのに床擦れが起こることもある

 歩ける人でも、床擦れができることはあります

 特に高齢者はなんとか頑張って歩ける状態の人でも、体力の低下や活動量の低下によって、寝る時間が増えたり椅子に座ったままの時間が増えたりすることも珍しくありません。やることがなくて、いつもソファにもたれ座ってテレビを見続けているという人などは、気がついた時には皮膚が赤くなって戻らなくなっていた、ということもあるのです。

 

床擦れの予防と体に合う椅子を使う必要性について

床擦れは、長時間同じ場所を圧迫しないようにするのが、一番の予防法です。ここでは、ベッドから離れて起きている時間帯での床擦れの予防と適切な椅子の選び方を見ていきましょう。

 

座っている時は1530分ごとに動こう

 椅子に座った状態では、特におしり(尾骨や坐骨)、背中、肘に床擦れができやすいでしょう。テレビをボーッと見ていると、すぐに時間が経ってしまいますが、床擦れ防止のために少しだけ腰をあげたり、立ち座りの運動をしたり、座り直したりして圧力を逃がすように心がけましょう。

 

盲点?ふんわりソファに注意

 ふんわりとしたソファは、座り心地がよく体重をしっかり預けられるものも多くて、気持ちが良いですよね。ご高齢の方の体を労って、プレゼントされるケースもあるでしょう。

 しかし、人によってはこのふんわりソファが状態に合わない場合もあります。必要以上に体が沈み込むようなソファの場合、かえって一般的な椅子に座るよりも疲れてしまい、体力が低下した人が長時間座るには適していない可能性があります。

 また、必要以上に体が沈み込むことで、体の両横や肩、腰といった部分に圧力が集中し、床擦れの原因になってしまうのです。ふんわりした椅子は、立ち座り時に余計な力を必要とするといったデメリットもあり、15分~30分おきに体を動かすことも億劫になってしまうかもしれません

 

体に合った椅子を選ぶメリット

 体に合う椅子を選ぶことは、床擦れの防止をはじめ、さまざまなメリットがあります。

・立ち座りがしやすい

・姿勢が崩れにくい

・疲れにくい

・飲み込みが安定しやすい

 座面の高さは、座った時に足の裏がしっかりとつき、膝の角度が90度になるのが理想です。もし、椅子が高すぎるようなら、足台を置いても良いでしょう。もし、座面に床擦れ防止のマットを置く場合は、その高さも考慮して選ぶ必要があります。また、姿勢が崩れやすい人は、左右に肘掛けがあるものが安心です。麻痺等で、どうしても体が傾く場合は、肘掛けと体との間にクッションなどを挟んで、まっすぐに座れるようにサポートしてあげましょう。

 

動きやすく快適に座れる椅子はレンタルもおすすめ

床擦れが心配な高齢者のための椅子は、レンタルで用意するのもおすすめです。特に、高齢者用に特化した家具メーカーのつくる椅子は、安定性も高く使い勝手もよく考えられており、何より高齢者のからだのことをよく理解しているため、椅子選びに困っている方も安心して選びやすいでしょう。

 レンタルなら合わなければ返却でき、レンタル期間によっては一式購入して揃えるよりも経済的な負担が少なくて済みます。介護施設などに入居しておられる方が、一時的に帰宅する場合にも便利です。色々なタイプの椅子を試してから購入したいという方のニーズにもマッチします。

 

寝ていない時間にも床擦れには要注意!自分に合う椅子を選ぼう

 床擦れは一度できてしまうと、なかなか治療が大変です。特にご高齢の方は傷の治りもそう早くなく、傷が出来やすい状態にあります。歩けるからまだ大丈夫、と安心するのは危険です。時々、少しだけでも立ち座りをしたりしながら、椅子での床擦れを防ぎましょう。床擦れは圧迫だけでなく、弱った皮膚がズレることでも起こります。体に合わない椅子を使って姿勢がズリッと崩れることで、床擦れになる可能性もあるため、できるだけ安定した姿勢で座れる椅子を選ぶことも大切です