高齢期の暮らしに合わせた家具の活かし方

家族構成や暮らし方が変わると、以前はよく使っていた家具を使わなくなることがあります。子どもが独立して食卓の椅子が余った。来客用にそろえた椅子や小さなテーブルも、最近は出番がほとんどない。そんな家具が家の中に残っていないでしょうか。

そんな家具を見ると、「使わないなら処分した方がいいのかな」と迷うこともあるでしょう。でも、まだ十分に使える家具ならすぐに手放すのではなく、「今の暮らしに合った別の役割を持たせられないか」と考えてみるのも一つの方法です。

たとえば、ダイニングテーブル。本来は食事をする家具ですが、新聞を読んだり、手紙を書いたり、趣味の作業をしたりと、食事以外にも使っている家庭は多いのではないでしょうか。特別なことをしている感覚はなくても、これも暮らしに合わせて家具の役割を広げている一例です。

そこで今回は、「家具の役割を現在の暮らしに合わせて使い直す方法」について紹介していきます。

 

暮らしが変われば、家具の役割も変わる

家具は長く使えるものが多いからこそ、家具より先に私たちの暮らしの方が変わってしまうことがあります。

親戚が集まるために用意した来客用家具。家族全員の物をしまっていた収納家具。買った当時は必要だったものでも、今では使う人数や頻度が変わっているかもしれません。だからといって、「まだ使えるから、そのままにしておく」もしくは「もう使わないから、処分する」の二択で考える必要はありません

「今の暮らしなら、この家具を何に使えるだろう?」そんな見方を一つ加えてみると、これまでとは違う使い道が見えてくることがあります。もちろん、活かし方は家具の種類やその家庭の過ごし方によってさまざまです。ここからは、考え方の一例として、身近な家具を使った例をご紹介します。

 

食卓は、すでに別の役割を持っている?

大きなダイニングテーブルを、今はご本人やご夫婦だけで使っている家庭もあるでしょう。そのダイニングテーブル、食事以外の時間にも使っていないでしょうか。

新聞を広げる。手紙を書く。パズルや塗り絵を楽しむ。手芸などの軽い作業をする。もし思い当たるなら、そのダイニングテーブルはすでに「食事をする家具」だけではなく、「日中にいろいろなことをする場所」になっています。

家具の役割を変えるといっても、特別なことをする必要はありません。普段何気なく行っているこうした使い方も、今の暮らしに合わせて家具の役割を広げている一例です。

 

余った椅子を、普段の暮らしに

家族の人数が減ったり、来客が少なくなったりして、ほとんど座らなくなった椅子はないでしょうか。「予備の椅子だから」としまっておくのも一つの方法ですが、普段の暮らしの中を見渡すと、「ここで座れたら便利なのに」という場面が見つかることがあります。

たとえば、

・着替えや身支度をするとき

・洗濯物をたたむなど軽い家事をするとき

・趣味やちょっとした作業をするとき

・電話でゆっくり話したいとき

などです。

「普段、立ったまま行っていることはないかな」 「座ってできたら楽なことはないかな」と、暮らしの場面から考えてみます。そのうえで、手元にある椅子が使えそうなら、新しい出番をつくることができます。ただし、座ったときに足が床につきにくい、ぐらつきがある、その場所には大きすぎるといった場合は、無理に使わないことも大切です。

 

小さなテーブルを「準備する場所」に

サイドテーブルや小さなテーブルも、使い方を広げやすい家具です。

飲み物やリモコンを置くだけではなく、「その日に必要な物を一度集める場所」として使ってみるのはいかがでしょうか。たとえば通院する日なら、診察券やお薬手帳、バッグを置いておく。外出する日なら、鍵や眼鏡、帽子をまとめておく。趣味を楽しむ日は、使う道具を手元に置く小さな作業台にする。

ほかにも、

・届いた郵便物を確認する

・手紙を書く道具をそろえる

・読みかけの本や新聞を置く

・翌日使う物をまとめておく

など、その家庭に合った使い方を考えられます。

今日は外出の準備、明日は趣味の道具というように、その日の予定に合わせて役割を変えられるのも、小さなテーブルならではの使い方です。ただし、物を置き続けるとかえって使いにくくなるため、「これから使う物を置く場所」と決め、使い終わったら戻す。そんな使い方にすると、役割も分かりやすくなります。

 

収納家具も、中身を決め直してみる

食器棚や引き出しの中を見てみると、「昔からここに入っているから」という理由だけで残っている物はないでしょうか。

家族全員分の食器、以前よく使っていた来客用品、昔の趣味の道具。暮らし方が変わっても収納家具の中身だけは昔のまま、ということもあります。そんなときは、収納家具そのものを替える前に「今なら、ここに何が入っていると便利だろう?」と考えてみるのも一つの方法です。

たとえば、家族全員分の食器を入れていた棚の一部を、

・毎日使う食器や湯のみ

・お茶やコーヒーに使う物

・便箋や筆記用具

・今楽しんでいる趣味の道具

・帽子や手袋、エコバッグなどの外出用品

といった、現在よく使う物の収納に変えることもできます。

また、一段だけ使い方を変えてみるのもよいでしょう。「あとで家族と確認する物」の場所として、郵便物や書類、取扱説明書などをまとめておく。「外出するときに使う物」の場所として、エコバッグや帽子などをまとめておく。

収納家具は、必ずしも買った当時と同じ物だけをしまい続ける必要はありません。棚や引き出しの一部に、新しい担当をつくる。それだけでも、今の暮らしで使える家具へ変わっていきます。

ただし、高い位置や低い位置へ無理に物を移すのではなく、ご本人が普段使いやすい場所に収納すること、そして薬など保管方法が決められている物はその保管方法を守ることを優先させましょう。

 

無理に活かさなくても大丈夫

使わなくなった家具に別の役割を持たせることは、今ある物を暮らしに合わせて使い直す一つの方法です。一方で、何でも再利用すればよいわけではありません。ぐらつきや破損がある家具、別の用途では高さや大きさが合わない家具、置くことで生活しにくくなる家具まで無理に使う必要はありません。

「今の暮らしで別の役割を持たせられるか」を考え、それが難しければ、家具を減らしたり、現在の使い方に合ったものへ替えたりする選択肢もあります。

 

今の暮らしから家具の役割を考える

ダイニングチェアだから食卓で使う。サイドテーブルだから飲み物を置く。食器棚だから食器をしまう。そう決めてしまうと、使わなくなった家具は「残すか、処分するか」の二択になりがちです。

家具より先に暮らしが変わったのなら、家具に求める役割も変わります。最近あまり使っていない家具があれば、「これはもういらないかな?」と考える前に、「今なら、何に使えるかな?」と一度考えてみてはいかがでしょうか。意外と身近なところに、新しい使い道が見つかるかもしれません。

今ある家具を活かせそうなら、新しい役割を持たせる。今の暮らしには合わなくなっているなら、減らしたり替えたりする。そんなふうに、家具の役割を現在の暮らしに合わせて考え直すことも、これからの住環境を整える方法の一つです。