高齢者が家で出来る! 椅子に座って行う体操とそのメリット

体が不自由で思うように動かすことができなくても、運動をすることは色々なメリットをもたらします。しかし、高齢の方が自分一人で運動をするのはなかなか困難で、続けるためのモチベーションも保ちにくいですよね。家族の立場としても、自宅ではできるだけ無理なく怪我をしないように、という思いもあり、運動には消極的な気持ちを持たれるかもしれません。ただ、そんなに特別な機会を設けなくても、簡単にできる体操はあります。ここでは体操を行うメリットと、椅子に座ったまま行える手軽な体操についてご紹介します。

 

高齢者が体操を行うメリット

 要介護者など介護が必要な方の中には、自分で起き上がり体操をすることが困難な方もいますね。体が不自由でない高齢の方も、自主的に毎日体操を行うとなるとなかなか続かないものです。いずれにしても、高齢者の方々は運動不足になりやすいため体操を行うことには大きなメリットがあります。

 

体がほぐれる・動かしやすくなる

 体は、動かさなければ動きにくくなります。特に体が不自由になると、自主的に動く機会が少なくなり、筋肉は落ちて関節も硬くなっていきます。体操をすると、普段あまり使わない筋肉が動き、体もほぐれます。体がほぐれると、動きやすさにつながり、それは介護予防にもつながっていきます。

 

気分転換ができる

 体操で体を動かすことは、刺激になります。ボーッとして過ごしている時間が長い人や、動きたくても動けずに悶々としている人にとって、体操は心身をリフレッシュしてくれます。運動は心にも良い影響を与えることで知られているように、ネガティブな気分を和らげてくれる効果が期待できます。

 

高齢者が体操を行う際の注意点

 張り切って体操をするのは良いことですが、安全面には十分な注意が必要です。例え、椅子に座ったまま行う体操であっても、危険への対処をしておきましょう。

 

椅子からの転落に気を付ける

 椅子に座って行う体操は、立って行う体操よりも安全かもしれません。だからといって油断は禁物です。姿勢の保持が難しい人や体力のない人は、背もたれや肘置きのある椅子を選びましょう。

 座る姿勢も大事です。姿勢が保持できる人は背もたれを使わずに椅子に浅く腰かけて行うのがベターですが、姿勢が崩れやすい人は深く腰かけてずり落ちないように注意しましょう。

 

無理をしない

 ゆっくり行う体操であっても、無理に伸ばしたり動かしたりすると痛みが出てしまいます。また、張り切りすぎて疲れてしまうこともあるでしょう。一度にたくさんの体操をしないことや早く動かさないこと、完璧を求めないことが大事です。

 体を動かして、気持ちいいと感じる程度でやめるのが一番。頑張って動かしすぎてその後しんどくなると、続けようとは思わなくなってしまうため注意しましょう。

 

 ここからは、高齢者の方々が椅子に座ったままできる体操を5つご紹介します。

 

首の体操

     1.上を向く・下を向く

     2.耳を肩に近づけるように頭を傾ける(左右)

     3.右を向く・左を向く

     4.ゆっくり円を描くように首を回す(右回り・左回り)

 

これらの体操は、肩凝りを和らげるだけでなく、飲み込みに使う筋肉をほぐし鍛えることもできます。食事の前に行うと、一石二鳥ですね。

 

肩の体操

 こちらも肩凝り解消に役立ちます。

     1. 両肩を上に上げて下にストンと落とす

     2.両腕を前から後ろに回し胸を開く

     3. 両肩に手をおき、肩で円を描くように肘を動かして回す

 

この運動は、デスクワークの多い人にもおすすめの体操です。ゆっくりと行うと、肩がラクになるでしょう。高齢者の方と一緒に行ってみてはいかがでしょうか。

 

足首、つまさきの体操

 歩行が難しい人は、足首の関節も固くなりがちです。足首の関節が固くなると、立ったり座ったり、踏ん張る力が弱くなってしまうため、あまり歩かない人も積極的に動かしてみましょう。

 

     1. 椅子に座って足の裏を床につける

     2. つまさきをつけたまま、かかとを上げ下げする

     3. 今度はかかとをつけたまま、つまさきを上げ下げする

     4. 片方の足を伸ばし足首を曲げ、つまさきを握る(左右)

足を伸ばしてつまさきを握る体操は、難しければ途中まででも良いでしょう。急いで行うと、足がつってしまうこともあるため注意が必要です。ゆっくりと数をかぞえながら、毎日少しずつ数を増やしていっても良いですね。

 

指先の体操

 指先の体操は座っていなくても行えます。また、家に限らず外出先でもできるため、積極的に取り入れてみましょう。

 

     1. 両手をパーにする

     2. 指を、数えながら親指から1本ずつ折り曲げる

     3. 小指まで数えてグーの形になったら、今度は小指から開いていく

 

この体操はとても簡単です。両手を一度に行ったり、片手をグーの状態・もう片方をパーの状態から行ったりすると、頭の体操にもなりますね。

 

腰の体操

 靴下や靴をはく動作が難しくなってきたな、という人には、腰の柔軟性を高める体操もおすすめです。ただし、椅子からの転落には十分に注意しましょう。

 

     1. 椅子に座り、胸を膝につけるように前へかがむ

     2. 両手で両足首を握る

     3. 手を離し、もとに戻る

 

バランスを保つのが苦手で前へ転んでしまいそうになる方は、椅子に深く腰かけて太ももに手を置いたままかがむだけでも良いでしょう。

 

簡単でOK!ちょっとした体操から始めてみよう

 体が十分に動く人は、もっと難易度の高い体操にもチャレンジしましょう。ラジオ体操など、身近な体操を毎日行うのも良いですね。自分で歩くことが難しい人は、今回ご紹介したような簡単な体操がおすすめです。食事の時間は、ベッド上での生活が主となっている人も起き上がりますよね。そのような時間を活用して、少しだけでも体操を取り入れてみませんか。