自宅での安全な食事介助のために

家庭で安全に食事介助をするために意識しておきたいポイント

 年をとり、介護が必要になっても、「食べることが楽しみだ」と言われる方はとても多いものです。しかし、介護が必要になった方にとって食事は楽しく嬉しいものであると同時に、少し間違えば危険なものにもなり得ます。ここでは、ご家庭で食事介助を行う際に意識しておきたいポイントを紹介します。

 

なぜ食事介助に注意が必要なのか

私たちは、年をとると段々と食べ物や飲み物をむせやすくなります50代や60代にもなると、若い頃とは何だか違うなと感じる方も多いはずです。しかし、少しくらいむせたとしても、若い頃は自力で激しく咳き込んでトラブルを回避できる場合がほとんどでしょう。ただ要介護高齢者となると話は違います。

飲み込む力・噛む力が低下する

食べ物を口にいれて、飲み込むまでを思い返してみましょう。まず、口に入っても問題ない大きさにして、口に入れますね。そして、何度もしっかりと噛みながら、口の中で飲み込みやすい状態にします。飲み込む直前の食べ物は喉をとおるサイズになり、それからゴクンと飲み込みます。

高齢になると、この一連の流れがうまくいかなかったり弱くなったりして、時間がかかったりむせたりしやすくなります

唾液の分泌量が減る

食べ物は、口の中に入れて噛んでいるうちに唾液と混ざって飲み込みやすい状態になります。しかし、高齢になると唾液の分泌量が減り、特に水気の少ないパサパサとした食べ物は飲み込みづらくなります

食べやすい姿勢が保ちにくくなる

体力が低下したり、麻痺があったりすると、食事に適した姿勢が自力では保ちにくくなります。

誤嚥(ごえん)には細心の注意を

誤嚥に注意

食べ物が正しく飲み込めず、むせたり気管に入ったりすることを誤嚥と呼びます。食べづらいものを無理に食べようとしたり、飲み込みにくい大きさ・形状のものを無理に飲み込もうとしたり、飲み込みにくい姿勢で食べようとしたりしたときに、誤嚥は起こりやすくなります。他にも、障害や老化によって、喉の機能が衰えて、誤嚥をしてしまうこともあります。

誤嚥すると、本来ならば食道に入っていく食べ物が、誤って気管に入ってしまうことがあります。体力が十分にある体なら、さほど問題にならないこともありますが、高齢者の場合は肺炎につながる恐れもあるため注意が必要です。それ以前に、喉につまってしまったら窒息で命に関わることもあるため、油断はできません。

 

安全に食事をするために「姿勢」は重要

私たちでも、寝転んで何かを食べようとすると、非常に飲み込みづらいものです。椅子に座っていたとしても、膝に頭がつくほどの前屈みの姿勢や左右のどちらかに傾いた姿勢などでは、とても食べづらいと感じるでしょう。

要介護高齢者で食事の介助が必要になる程の状態なら、自分で起き上がったり座ったりすることも難しいのではないでしょうか。そのため、安全に食事を食べるために、正しい姿勢をとることも食事介助では重要なポイントとなります

食べやすい食事姿勢とは

できるだけ机と椅子で、難しければ車イスと机で食事をとるようにしましょう。起き上がること自体が難しければ、リクライニングの角度を45度~80度くらいまで上げるのがベターです。

椅子には深く腰をかけ、足の裏はしっかりと床につけるように、届かなければ足台を置いて調節します。姿勢がずれてしまわないように、必要に応じてクッションを挟みましょう。手を机に置ける状態なら、両ひじを机に置いて少しだけ前傾姿勢になるようにサポートしてあげます。

車イスに座ったままであれば、車イスのフットレストから足をおろして、床に足裏がつかなければ足台を置きます。ベッド上なら膝を少し曲げるように足側のリクライニングも調節して、膝の下や後頭部・首下あたりにクッションを挟むと楽になりやすいです。

 

家で行う食事介助の方法

さて、食事がしやすい姿勢がとれたら、食事の介助にうつります。できるだけ唾液の分泌を促すために、お口の体操をしたり少しお話をしたりして、準備体操をしてあげましょう。そして、いきなり固形物を口に運ぶのではなく、お茶や水を一口飲んでもらってから食事に入ると食べやすくなります。

介助者は横に座って行う

食事介助は、一緒に座って行うのが大原則です。忙しいからと、立って行ってしまうと、高齢者は上を向く形になり、顎が上がります。顎が上がった状態では食べにくく、誤嚥につながりやすくなります。

水分の多いものから

汁物や、汁気の多いものから食べさせてあげましょう。噛んで食べているうちにだんだんと口の中も潤いが増し、食べやすくなります。

急かさずにペースを合わせる

時間が惜しいからと次々に口に運んでしまうと、誤嚥をしやすくなります。焦らせないように、一口ずつ飲み込んだことを確認してから次の一口を介助しましょう。

 

食べやすい状態に工夫してあげるのも大切

 噛むことが難しければ、柔らかいものを中心にしたり、小さく刻んだりすると食べやすくなります。飲み込みが難しいようなら、とろみをつけたり、ミキサーでとろとろにしたりする必要もあるかもしれません。介護の専門家にアドバイスをもらいながら、安全に食べられる工夫を行いましょう。

 

コミュニケーションをとりながら楽しく食べてもらうことも大切

 「次は何を食べたい?」「サンマが美味しくなる時期だね」など、コミュニケーションをとりながら楽しく食べてもらうことも食事を充実させるポイントになります。食べている最中にしゃべらせようとするのは危険ですが、だからといって無言の食事は味気ないものです。ゴクン、と飲み込めたら少しお話をするなど、無理のない範囲でコミュニケーションがとれると、食事の時間がより楽しくなりますね。

コミュニケーションをとりながら楽しく食べる