【高齢の方向け】季節ごとの住環境アレンジ法
日本は春夏秋冬それぞれの季節の魅力があり、季節のうつろいを楽しみに過ごされている高齢者の方も多いでしょう。しかし、夏は厳しい暑さとなり、冬は凍えるような寒さとなるなど、季節に応じた快適な環境をつくる必要があります。ここでは、季節別に、高齢者の方が快適に暮らせる環境について一緒に考えていきましょう。
春を快適に過ごす部屋づくり
春は、だんだんと暖かい日が増えて、野山も彩りはじめますね。気持ちの良い気温の日中には、窓を開けて春の風を取り入れると、リフレッシュした気持ちになれるでしょう。また、明るく爽やかな季節だからこそ、明るい色合いのファブリックを取り入れたり、植物を飾るのもおすすめです。
- 春は寒暖差に気を付けて
しかし、春は気温差が激しくなりがちで、ご高齢になるとそのぶん体調も崩しやすくなります。若い世代の人はあまり感じなくても、まだ寒さを感じる方も多いため、暖房器具や寝具についてはご本人の様子や希望を十分に聞きながら調整されることをおすすめします。
夏を快適に過ごす部屋づくり
夏は、室内でも熱中症のリスクがあるため、室温と水分補給に十分な注意が必要です。エアコンの設定温度は28度が推奨されていますが、外気温や外から入ってくる日差しなどの影響で室温が下がりにくい場合は、もう少し低めにした方が良いかもしれません。また、扇風機も上手に活用して、空気が停滞しないようにしましょう。エアコンや扇風機の風が直接あたると、寒さでストレスを感じる方もいます。風向きに気を付けて、快適な室温を保つのがポイントです。
外からの熱の影響を防ぐために、遮光カーテンに切り替えるのもおすすめです。エアコンを効率的に活用する上でも役立ちます。
- 夏は見た目からも涼しさを感じる工夫を
夏は、部屋の中が暑苦しい印象にならないように、ラタンなど通気性の良い素材の家具を使ったり、水色などの爽やかな色合いのものを取り入れたりして、目から涼しさを感じる工夫もしてみてはいかがでしょうか。
- 水分補給の方法を考えよう
熱中症を予防するためには、水分補給も重要です。高齢者は喉の乾きを感じにくく、水分補給の必要性を自覚しづらいといった特徴があるため、いつでも飲み物に手を伸ばせる環境にしておきましょう。
自分で歩くことが難しい方には、ベッドサイドにペットボトルを用意しておくのもおすすめです。飲み込みが難しい方は、ストロー付きのこぼれないマグに水分を入れてみてはいかがでしょうか。さらに、食欲が落ちやすく飲み込みにも不安がある方は、市販のとろみ剤を使って飲み込みやすい状態にする、塩分と水分が同時に補給できる経口補水液を用意しておくなどの対処が必要かもしれません。
秋を快適に過ごす部屋づくり
お盆を過ぎたあたりから、だんだんと日が短くなり、秋になるとまた1日の寒暖差が激しくなってきます。日中は夏本番のような暑さでも、朝晩は冷え込むといったケースも珍しくありません。この寒暖差が体調を崩す要因にもつながるため、室温の調整に注意しましょう。
- 秋は温かみのある色合いを取り入れよう
段々と寒くなってくる秋は、やわらかな朱色や明るい黄土色など、落ち着きのある温かい色合いのファブリックやグッズを取り入れるのがおすすめです。夏場に置いておいた水色などの涼しさを感じるアイテムが残っていると、寒さがより引き立つ可能性があるため、衣替えと同じタイミングで交換してみてはいかがでしょうか。
- 朝晩の防寒対策
朝晩の気温がグッと下がった時のために、予備の寝具を用意しておいたり、暖房器具を出したりして対策をしましょう。
- 日中のあたたかいうちに換気を
秋は、夏の疲れが残ることで「秋バテ」を起こす人も多いといいます。また、日照時間が短くなることで、睡眠ホルモンが増え、眠気やダルさを感じやすくなる季節です。できるだけ秋バテを起こさないために、質の高い睡眠がとれる環境をつくりましょう。日中のあたたかいうちに換気をして外気に触れたり、朝はカーテンをしっかり開けて体内時計をリセットしたり、日中を活動的に過ごしたりといった対策を意識してみてはいかがでしょうか。
冬を快適に過ごす部屋づくり
冬は、言うまでもなく寒さに対処していく必要があります。ご高齢の方は、着なれた衣服を好まれる方も多いですが、何枚も着衣して動きにくくなるよりも、機能的な衣服を取り入れて少ない枚数で暖かく過ごせる方が快適でしょう。保温性に優れた衣類を紹介してあげると、案外お気に入りになる方も多いです。
- 暖かみのある素材をインテリアに
冬は、暖色を積極的に取り入れたインテリアがおすすめです。木目がよく見えて木の温もりが感じられる家具を置く、厚みのあるファブリックが使われた椅子を使うなどがおすすめです。
- 防寒アイテムを上手に活用
冬の暖房器具は、エアコンや石油ヒーター、こたつなどがあります。しかし、こたつは布団に足がひっかかったり、床からの立ち座りが難しいといった問題もあるため、椅子で入れる高さのこたつがおすすめです。石油ヒーターはお部屋全体をしっかり暖めてくれるアイテムですが、灯油の管理が難しい場合はエアコンの方が安心でしょう。
多くの方が活用している電気毛布については、ベッドの中で脱水症にならないように、温度を上げすぎないよう注意が必要です。寒くて眠れない場合は、湯タンポを活用するとエコにもなりおすすめです。また、断熱シートを窓ガラスに一枚貼るだけで、お部屋の温度は変わってきます。外からのひんやりとした冷気を防いで暖房器具を効率的に使える環境を整えましょう。
季節に応じた工夫で快適な住環境をつくろう
一昔前に比べると、日本の気候はずいぶんと変化してきています。エアコンなしでも過ごせていた夏も、今となっては考えられないほどですね。だんだんと年をとるにつれ、家の中で過ごす時間が増えるのは仕方のないことです。できるだけ一年をとおして快適に過ごせるように、季節に応じた工夫をしていきましょう。