介護保険が適用される福祉用具の種類と賢い使い方
要介護認定を受けて要支援や要介護の判定がおりると、さまざまな介護保険サービスを少ない負担で受けることが可能です。介護保険サービスと聞くと、デイサービスやホームヘルパーを思い浮かべるかもしれませんが、実はもっとたくさんの種類があり、生活に便利な福祉用具のレンタル・購入をすることも可能です。ここでは、福祉用具のレンタル・購入について、その種類や賢い使い方についてご紹介します。
※今後、介護保険制度の改定によりレンタル・購入できる福祉用具の種類等に変更点が生じる可能性があります。当記事は、2023年8月現在の情報となります。
介護保険が適用される福祉用具とは
福祉用具のレンタルや購入は、利用者が可能な限り自宅において自立した日常生活を送れるよう支援することを目的としています。したがって、利用者本人以外の家族が使用したり、特別養護老人ホーム等の施設へ入所したりすると、利用することができません。
どんなものがレンタル・購入できるのかはまた後ほどご紹介しますが、実際に利用するにはケアマネジャーの作成するケアプランに基づき、担当者が集まって行う会議や契約を経て利用開始となります。なお、ケアプランは自分や家族がたてることも可能ですが、かなり複雑な介護保険の仕組みを理解する必要があるため、あまり現実的な方法とは言えません。
介護保険適用だとどんなメリットがあるの?
福祉用具は、介護保険の認定がおりていない人も使用することは可能です。ただし、福祉用具業者への支払い額が大きく異なります。
介護保険適用の場合、利用者は原則1割負担で済みます。経済状況によっては、2割負担や3割負担となることもあります。簡単な例で言うと、月額1,000円のレンタル料の福祉用具が、介護保険適用によって100円(2割の方は200円、3割の方は300円)の負担で利用できるということです。しかし、介護保険の認定を受けていない人は、月額1,000円をそのまま支払う形となります。
購入とレンタルの違い
福祉用具は、レンタルで利用する方法と購入する方法の2通りがあります。すべての品物がレンタルと購入のどちらにも対応しているわけではなく、購入しかできないものもあります。
また、要介護認定のレベルによってレンタルできる品目が違ったり、一般的な高齢者の使う福祉用具でもレンタル対象外だったりするものもあるため確認が必要です。
購入対象品は、入浴時に使うものや排泄時に使うものが多いです。介護保険では、償還払いという仕組みが用いられ、一度全額を支払った後に自己負担額以外の部分が返還されます。つまり、自己負担1割の方が2万円のポータブルトイレを購入した場合、1万8千円が後ほど返還されるということです。
介護保険で購入・レンタルできる家具や福祉用具
ここからは、介護保険を使って購入やレンタルができるものを見ていきましょう。
介護保険で購入できる福祉用具
レンタルとは違い、購入の場合は介護度による制限がありません。要支援でも要介護でも、以下の6種類のものが購入できます。これらは、その用途の特性上、レンタルには不向きの品物ばかりです。必要な場合は、レンタルではなく購入という形で利用することとなります。
・腰掛便座(4種類)
・自動排泄処理装置の交換可能部品
・入浴補助用具
・簡易浴槽
・移動用リフトのつり具部分
・排泄予測支援機器
要支援・要介護1の方が介護保険でレンタル可能な福祉用具
要支援や要介護1の方は、要介護2~5の方に比べるとレンタルできる品目に限りがあります。
・手すり
・スロープ
・歩行器
・歩行補助杖
・自動排泄処理装置(排便機能がないもの)
以上の5つ以外のものを利用したい場合は、全額自費でレンタルする、自費購入する、福祉用具の例外給付を利用するといった方法があります。詳しくは、担当のケアマネジャーに相談しましょう。
要介護2以上の方が介護保険でレンタルできる福祉用具
要介護2以上になると、介護保険を利用してさまざまな福祉用具のレンタルが可能となります。
・車イス
・車イス付属品(クッションやパッドなど)
・特殊寝台(介護用ベッド)
・特殊寝台付属品(マットレスやベッド用手すりなど)
・床ずれ防止用具(ベッドで使用する主にねたきりの方のためのマット)
・体位変換器
・認知症老人徘徊感知機器
・手すり
・スロープ
・歩行器
・歩行補助杖※一般的なT字杖は対象外
・移動用リフト
・自動排泄処理装置
このように、レンタルできる福祉用具の種類は多岐にわたります。
賢い福祉用具レンタル・購入の使い方
介護が必要となり、体が不自由になると福祉用具の便利さを実感する場面が多くなるでしょう。だからといって、すべてを購入して揃えるのは、あまりおすすめしません。
介護が必要な方の状態は、短期間で変わりやすく、せっかく購入した福祉用具がすぐに必要なくなったり、使い勝手が悪くなったりしてしまう可能性があるからです。
リハビリや健康的な生活によって、歩けなかった人が歩けるようになることもあります。すると、本人にとって必要な福祉用具も変わってきますね。レンタルにしておくと、必要な時に必要なだけ福祉用具を使い、状態が変われば返却することができます。毎度購入して、高額な出費を要することもありません。
一方、同じ状態が長く続くと見込まれる時は購入も便利です。購入すれば、生涯自分のものとして自由に使うことができ、たとえ長期的に入所する施設へ転居した場合も使い続けることができます。
福祉用具はたくさん!上手に活用して出来ることを増やしましょう
福祉用具を上手に活用すると、自分ひとりで出来ることが増えたり、安全性が増したりして、生活がより楽しく快適になります。介護をする家族の負担も減らせるでしょう。福祉用具にはさまざまな種類があるため、日常生活で難しい面があればケアマネジャーに相談しながら取り入れてみてはいかがでしょうか。