介護の質を高める! 快眠のための環境づくり
介護する方もされる方も、質の高い睡眠は健康な生活を送る上で欠かせません。
しかし、介護される方が夜中に起きてしまうと深夜の介護に追われ、疲れがとれないといったこともありますよね。夜中に何度も目が覚めてしまったり寝つきが悪かったりといった睡眠不足は、介護を受ける方の心身の健康を損ねるなど、介護する方にもされる方にも影響を与えます。
この記事では、介護をする方とされる方の睡眠の質を高める、快眠のための環境づくりのポイントについて紹介します。
「寝てくれない」夜に目が覚めるのは睡眠環境のせいかも?
在宅介護をしていると、
・介護を受ける方のトイレの付き添いや排泄介助
・用事がないのに夜中の呼び出し
・認知症の方の徘徊
など、さまざまな要因で深夜にも介護が続く場合があります。「夜中にゆっくり寝てくれたら体を休めることができるのに」と思いながら介護する方も多いのではないでしょうか。
介護を受ける方にとっても不安や緊張感によって眠りが妨げられる場合は、いい睡眠がとれず不調が日中にまで及ぶことも。いい睡眠をとるためには、入眠時のリラックスが重要です。介護を受ける方が深夜に目が覚めてしまうのは、睡眠環境が整っていないことが原因のひとつかもしれません。
睡眠の質を高める快眠のための環境づくりのポイント
睡眠環境を整えることで以下の効果が期待できます。
・リラックスして寝つきが良くなる
・適切な環境で深い眠りをもたらす
・睡眠の質が向上し、夜間の覚醒が少なくなる
では、睡眠の質を高める快眠のための環境づくりのポイントをみていきましょう。
敷布団やマットレス
敷布団やマットレスなどの寝具は、入眠時に体をしっかり支え、沈み込みすぎないものがおすすめです。
沈み込みすぎる寝具は、腰痛の原因になるため「寝ると体が痛くて起きてしまう」場合は、敷布団やマットレスを変えてみてはいかがでしょうか。体圧分散や反発のバランスに優れている敷布団やマットレスなら、体の圧を軽減ができ寝返りもスムーズです。
枕
好みの高さや硬さは個人差が大きいので、フィッティングをして自分に合ったものを選ぶことが大切です。寝返りが打ちやすく、首や肩がリラックスできるものが良いでしょう。
寝具カバー
衛生環境も睡眠環境に影響します。
肌ざわりや吸湿性に優れ、抗菌・防臭効果の高い素材の寝具カバーを選び、こまめに洗濯を行って清潔を保ちましょう。
室温・湿度
体の深部体温が下がることで自然な眠りにつくことができるとされています。しかし、室温が低すぎると寒さを感じたり体の体温が上がったりしてしまうため、寝つきが悪くなってしまいます。暑すぎても放熱できず体の体温が上がってしまい、快適な入眠が難しくなるでしょう。
睡眠のための適温は20℃前後で、湿度は40~70%くらいに保つのがよいとされています。エアコンや加湿器などを活用し、室温・湿度を調整しましょう。
照明
明るい光は目を覚ます作用があるため、間接照明や簡易照明などでリラックスできる環境をつくりましょう。
白っぽい光よりも赤みを帯びた柔らかい光の方が、睡眠の質を高める効果が期待できます。光が気になるからといって真っ暗にしてしまうと不安を感じたり夜間の転倒につながったりする恐れがあります。ベッド下に簡易照明を置くことで、寝るときは心地よい暗さに、そしてもし目が覚めても足元が照らされるので夜間の転倒防止にもなります。
音環境
欧州WHOガイドラインでは、40dB(小雨の音程度)未満が推奨され、寝室はできるだけ静かな環境に整えることが大切です。外からの騒音がある場合は、防音機能に優れた窓や遮音カーテンを活用し軽減しましょう。
その他
その他、快眠につながるポイントは以下のとおりです。
・規則正しい生活で体内時計を整える
・日中は長時間の昼寝を避け、適度に活動する
・ポータブルトイレを設置する
睡眠環境は、寝具や温度、湿度、音環境などの外からの刺激を和らげるほかに、日々の生活リズムを整えたり、メリハリのある生活を過ごしたりすることも重要です。また、夜間のトイレなどで何度も目が覚めてしまう場合は、ベッドサイドにポータブルトイレを設置するなども検討しましょう。
快眠環境で心身のリフレッシュを
介護をする方とされる方の睡眠の質を高める、快眠のための環境づくりのポイントについて紹介しました。「夜は寝て欲しいのに寝てくれない」と、ついイライラしてしまいがちですが、今回紹介したように睡眠環境を整えてみるのもひとつの方法です。
眠れない方に対して「夜だから寝て」ときつく伝えたり、無理やりベッドに連れていったりすると、かえって目が覚めてしまい寝付けない原因になります。高齢や認知症の方では、不安感から寝付けない方が多いため、優しい言葉がけや態度で本人がリラックスできるように対応しましょう。 睡眠環境を整えても夜中に何度も目が覚めてしまう、寝つきが悪いといった睡眠に関する悩みが続く場合は、かかりつけ医に相談することも検討してみてください。
< 参考文献 >
厚生労働省のe-ヘルスネット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-02-001.html
厚生労働省健康局 健康づくりのための睡眠指針
https://www.mhlw.go.jp/content/001208251.pdf