あると便利!高齢の方向けの玄関椅子
玄関で靴を脱いだり履いたりする毎日のちょっとした動作も、高齢になると足腰の筋力が低下して大きな負担になることがあります。前かがみになったり膝を曲げたりする動作が難しくなり、立ち座りに不安を感じることで、外出をためらってしまう方も多いのではないでしょうか。また、玄関での転倒は大きなケガにつながる恐れもあります。
そこで今回は、立ち座り時の負担や、転倒のリスクを減らしてくれる「高齢の方向けの玄関椅子」について紹介します。
なぜ高齢になると玄関椅子が必要なの?
高齢になると、体力や筋力が低下し、スムーズに立ち座りができなくなることがあります。住み慣れた自宅で安全に過ごせるよう気を配られている方も多いと思いますが、高齢者の事故の7割以上が自宅で起こっています。リビングでの事故割合が最も高く、キッチン、階段に次いで玄関での事故も多いとされています。
玄関での靴の脱ぎ履きや立ち上がりは、バランスを崩しやすく、転倒リスクの高い動作です。外出の機会が少ない方でも、通院や買い物などで玄関を使うことは日常的にあるため、玄関で事故が発生する可能性は常に存在します。
玄関椅子はそういった高齢者の事故リスクの軽減や不安を解消し、安全をサポートしてくれるアイテムです。玄関椅子に座って靴を履き替えることで、立ち座りの負担軽減や、靴の紐を結んだり靴べらを使ったりする際などに転倒してしまうといった事故の予防につながります。
参照:日本理学療法士協会 理学療法ハンドブック 在宅での危険予防https://www.japanpt.or.jp/about_pt/asset/pdf/handbook14.pdf
玄関椅子の種類と特徴
玄関椅子には、様々な種類がありますので、それぞれの特徴を比較し、ご自身の身体状況やお住いの環境に合ったものを選びましょう。
立ち上がり補助のある玄関椅子
立ち上がり補助のある(ガス式シリンダーを搭載)椅子は、立ち上がり時は座面が押し上がり、座る際は座面がゆっくり下がるようになっているため足腰の負担を軽減することができます。
立ち上がり補助機能を使用せずに通常の椅子としても使うことができるものなら、短期間だけ玄関で使用したい方にもおすすめです。
手すり(肘掛け)付き玄関椅子
玄関に椅子があっても手すり(肘掛け)がない場合、立ち座りが安定せず、バランスを崩して転倒してしまう恐れがあります。また、腰をかけた際に座面からはみ出して椅子から落ちてしまうといった事故も少なくありません。
手すりがあることで、立ち座り時に体をしっかり支える安定感が得られ、足腰への負担を軽減してくれます。また、外出から帰って靴を脱ぐ場合、手すりにつかまり腰をかけられるので、座る動作の負担も軽減されるでしょう。
収納・靴置き付きの玄関椅子
玄関椅子には、収納・靴置き付きのあるものもあります。ベンチタイプになっており、座面を開けると中に収納スペースがあるものや、手すりのある玄関椅子で座面の下の段に靴置きがあるものなどさまざまです。
高齢の方が使用する場合は安全性が高く、手すりがあり、靴をすぐに出し入れしやすい靴置き付きの玄関椅子がおすすめです。
折りたたみ式の玄関椅子
折りたたみ式の玄関椅子は、壁に設置して使うタイプの椅子で、マンションや玄関スペースが狭い方におすすめです。使わない時はコンパクトに収納できるため、スペースを有効活用できます。
しかし、壁に固定するため高さ調節が難しいことや手すりがないため安定性に欠けるもの、座面が狭いものも多いため、ご自身に合ったものを選ぶことが大切です。
玄関椅子の選び方
玄関では、以下のようにさまざまな動作を行います。
・靴ひもを結ぶ
・マジックテープを外す、止める
・靴べらを使う など
玄関椅子を選ぶ際は、以下のポイントに注意しましょう。
高さ
多くの方は、前かがみになり手を靴に近づける動作になるかと思いますが、高すぎると前かがみのまま転倒するリスクが高く、低すぎると立ち上がる際の負担が大きく、動作時に胸を圧迫する姿勢になってしまいます。よって、靴の脱ぎ履きで行う動作や、立ち上がりしやすい高さを選ぶことが大切です。
理想的な座面の高さは、「座面の高さ=身長÷4」の計算式で求めることができます。身長が160cmの場合、適切な座面の高さは40㎝前後となります。
計算式で求めた高さは、目安の高さなので、座面の奥まで座った際に、足の裏が床にくっついているか、立ち座りや動作がしやすいかを確認して選ぶようにしましょう。
機能
玄関椅子には、ご紹介したように立ち上がり補助機能、手すり、靴置きなどさまざまな機能をもつタイプがありますが、体の状況やどのような使い方をしたいかによって必要な機能を選びましょう。
足腰の負担を軽減したい方や立ち座りの動作に不安がある方は、高さが調節できるかどうかもポイントです。せっかく気に入って買った玄関椅子でも高さが合わないと、立ち座りの負担を軽減することができません。体の状況に合わせて高さ調整できる椅子なら安全に立ち座りの動作がしやすいでしょう。
設置場所
使用する方の体の状況や玄関の広さとのバランスを考えて選びましょう。
玄関椅子は、玄関の上がり框と土間の角に置くのがおすすめです。壁に背を向けて置けば、移動距離が少なく安全に動作しやすいでしょう。土間が水平でない場合は、椅子が安定しないので土間に近い床に置いたり、アジャスターがついている椅子を選んだりするのもひとつの方法です。
意欲的な生活は安心感から
年齢を重ねて足腰が弱ってくると、「玄関での靴の脱ぎ履きがしんどい」「転倒するのが怖い」などの理由で、外出を控えたいと感じやすくなります。
転倒のリスクや立ち座りの負担を軽減してくれる玄関椅子を置くことによって、玄関での動作が安全に行えるようになれば、外出の機会が増え意欲的な生活につながることも期待できます。
玄関椅子は、高齢の方ご自身の体の状況やご自宅の環境に合わせて、ぴったりの玄関椅子を選びましょう。