自立と安心をサポート! 介護に役立つチェアとは?

年齢を重ねるにつれて「立ち座りがしんどいから動きたくない」と感じる方や、介護度が高い家族の移動や移乗が辛くなってきているという方も多いのではないでしょうか。立ち座りは足腰への負担や不安定さから転倒のリスクがありますが、動かない生活は身体機能の低下や活動への意欲喪失を招いてしまいます。身体やシーンに合ったチェアを使用することで「立つ」「座る」の動作をサポートし、家族の介護負担の軽減にもつながるでしょう。

介護をサポートするチェアには、リビングで使えるリクライニングチェアやシャワーチェア、移動用の椅子など、ニーズに合わせて様々な種類があり、一部は福祉用具として介護保険の対象となっています。

ここでは、高齢者の方の日常生活の動作をサポートするチェアについて、その種類や機能を詳しくご紹介します。

 

介護に役立つチェアとは?

高齢になると立ち座りが不安定になり、介助が必要になります。よって、立ち座りに適した高さや安定感、安全性に優れ、立ち座りの動作をサポートするチェアは大変役に立ちます

 介護をサポートするチェアは、以下のような方におすすめです。

 

 ・加齢や障がいなどにより、立ち座りの動作に不安がある方

・長時間座っていると腰に負担がかかる方

・座位が安定しない方

・下肢筋力低下のため、立ったままの動作が不安定な方

・腰や膝に痛みがある方

 

介護に役立つチェアは、本人が無理なく日常生活を過ごせるだけでなく、介護者にとっても介助しやすい設計がされ、主に「リビング・ダイニング」「トイレ・浴室」「移動時」の3つのシーンで分けられます。

 

心地よさと安心感を備えたリクライニングチェア

リビングやダイニングは、テレビを見るときや食事をするときなど家族との時間を過ごす場所ですので、長時間椅子に座っている方も多いでしょう。リビングやダイニングでの時間を楽しく安全に過ごすためには、リクライニングチェアがおすすめです。

しかし、体に合っていない椅子は、腰痛や褥瘡の原因になったり誤嚥、立ち座り時の転倒のリスクを高めてしまいます。

 

リクライニングチェアの特徴

リクライニングチェアはゆったりとリラックスできるため、長時間座っても疲れにくいことが特徴です。レバーで背もたれの角度を調整し、快適な姿勢の維持やスムーズな起き上がりをサポートします。

 

リクライニングチェアの機能

リクライニングチェアには、商品によって以下のような機能があります。

 

・体圧分散機能

体全体をサポートし、仙骨や腰の痛みの軽減や褥瘡予防が期待できます。

・フットレスト

リクライニングしたときに足を支え、高齢者の方の足のむくみ防止に効果的です。

 ・角度調整

リクライニングの角度は、段階が決まっているものや無段階でリクライニングできるタイプなどがあり、適切な角度に調整することで、快適な座位を維持できます。

 

 立ち上がり動作ができる方には、足裏全体が床に付くよう高すぎず低すぎない座面高調整ができるものや肘掛付きのものが、足腰に負担をかけずに立ち座りがしやすくなるためおすすめです。

介助が必要な方には、介助がしやすいように回転式の座面やアームレストが跳ね上げ式になっているタイプがよいでしょう。

 

清潔保持をサポートするシャワーチェア

シャワーチェアは、足腰が弱くなってきた方や姿勢が不安定な方が、安全に入浴できるような工夫がされています。

お風呂に入るとき、洗い場に直接腰を降ろす方や一般的なお風呂用の椅子を使っている方も多いかと思いますが、低い姿勢からの立ち上がりは足腰に負担がかかります。安全な清潔保持を行うには、シャワーチェアの利用がおすすめです。

 

シャワーチェアの特徴

シャワーチェアは、一般的なお風呂用の椅子よりも座面が広く高さがあり安定感もあるため、楽に立ち上がることができます

また、安全な姿勢保持により洗身時の見守り時間の短縮や立ち座り時の介助が減るため、介助者の負担軽減にもつながるでしょう。

 

お風呂用シャワーチェアの種類

お風呂用シャワーチェアは以下の点に注意して、ADL(日常生活動作)や心身の状況によって適切な機能を選ぶことが大切です。

 

・背もたれの有無

背もたれがないものは、洗身や洗髪の動作の際に安定して座位保持ができる方におすすめです。座位保持の安定が難しい方は、身体を支える背もたれがあった方が安定します。

背もたれがついているものには、背中全面をカバーするものや低めのものなどがありますが、円背の方でも深く座れて背中が洗いやすいのは低めのタイプです。

 

・跳ね上げ式の肘掛

立ち上がりや洗身時に介助が必要な場合は、肘掛が跳ね上げ式になっていると介助しやすいでしょう。

また、立位をとらなくても椅子から浴槽へ移動できるため、介護の負担を軽減できます。

 

 U字の座面

座面がU字型になっているので、座ったまま陰部を洗浄することができます。椅子からの立ち上がりが辛い方に向いています。

 

トイレチェア

シャワーチェアとトイレチェアが一体型になったチェアです。シャワーチェアの座面を付け替えるだけでポータブルトイレとしても使用できます

 そのほかにも、コンパクトに折り畳みできるタイプや座面の高さ調整ができるタイプなどがあります。自力で移動するのが難しい方は、脱衣所から浴室まで移動できる車椅子タイプのシャワーキャリーが便利でしょう。

 

足腰の負担を軽減して移動をサポートするステッキチェア

高齢になると長時間の歩行は疲れやすくなりますが、休憩できる場所を探してもなかなか腰をかけるスペースは見当たらないようです。そんな場面には通常は杖として、疲れたときにはチェアとして使用できるステッキチェアがおすすめです。

商品によってはワンタッチで開脚できる折り畳み式もあり、広げると安定して座れるサイズ感で普段のお出かけからリハビリ、旅行など様々なシーンで役立ちます。歩行に見守りや介助が必要であるものの、アクティブに活動したいシニアに向いているでしょう。

 

快適な立ち座りは適切な椅子選びから

高齢者の方の日常生活の動作をサポートする介護用チェアについて、種類や機能を紹介してきました。

介護が必要な方が毎日を快適に過ごすには、適切な福祉用具が必要です。中でも椅子は使用頻度が高く、動作の基本である「立つ」「座る」に関わります。利用する方のADLや生活環境、介助の状況などに合わせて選ぶことが大切です。適切な椅子を選び、安全性や自立度、生活意欲の向上につなげていきましょう。