転ばなくても起こる!高齢者の“見落としがちな事故”を防ぐ家具選び
高齢の家族に、そんな声をかけた経験はありませんか。高齢者の家庭内で起こる事故といえば「転倒・転落」がよく知られていますが、実はそれだけではありません。家具や設備との「接触」「挟み込み」「打撲」「やけど」などが原因の事故も多いとされています。
加齢により、視力や反応速度、筋力が低下すると、ほんの小さな段差や隙間、家具の角などが思わぬ危険になり、「転ばないようにする」だけでは安全は守れません。今回は、家庭内の身近な事故や予防策についてご紹介します。
高齢者に多い転倒以外の家具事故
ここでは、高齢者に多い転倒以外の家具事故を4つみていきましょう。
指挟み事故 - 引き出しや折りたたみ家具に注意
視力や握力、反応の速度が低下すると、引き出しを閉める際に手を引っ込めるのが遅れて指を挟むケースが増えます。また、折りたたみ式のテーブルやチェアなどにも注意が必要です。軽いけがで済めば良いのですが、骨折や爪の損傷など、軽い怪我で済まないことも。
指挟み事故の予防策
・ 引き出しの「ソフトクローズ機能」
引き出しを閉める際、速度が落ちてゆっくり閉まる構造(ソフトクローズ機能)の家具を選びましょう。指を挟んでも大きな衝撃になりにくいです。
・ ドアや戸棚に「ドアクローザー」
室内ドアや収納扉にドアクローザーを取り付けることで、急に「バタン!」と閉まるのを防ぎ、指を挟む事故防止につながります。
・ 扉や引き出しは「隙間レス」に
引き出しや扉は、指先をうっかり挟んでしまうことがないように、できるだけ隙間のないフラットなデザインを選びましょう。もし隙間がある家具の場合は、蝶番の隙間を覆う指挟み防止カバーを設置すれば安心です。
・ 折りたたみ式の家具の使用は最小限に
折りたたみ式の家具は便利ですが、蝶番やロックなど動く部品が多く、この隙間に指を挟むケースがあります。日常生活で使用する家具は、できるだけ固定型がおすすめです。
家具の角や縁への衝突-尖った角に注意
年齢を重ねると、視力や空間認識の衰えにより、家具の角やドアの縁に体をぶつける事故が増えてしまいます。特に、寝室や廊下、ダイニングなどで多く、夜間や薄暗い環境ではさらにリスクが高まります。
家具の角や縁への衝突の予防策
・ 家具の角は「まあるく」

角が面取りされた丸みのあるデザインのものを選ぶと、事故の予防だけでなく、お部屋全体が柔らかい雰囲気になるメリットもあります。角のあるデザインの家具を使用する場合は、コーナーガードを取り付けると安心です。
・ 家具や壁の色にコントラストをつける
床や壁と家具の色を変えることで、輪郭がはっきり見え、衝突防止につながります。家具の色を工夫して、お家の中を見やすいデザインに変えましょう。
キャスター付き家具-意図しない滑りに注意
キャスター付きの椅子やワゴン、テレビ台は便利な家具ですが、寄りかかったときに思わぬ方向へ動いてしまい、転倒につながることがあります。特に、ベッドサイドやダイニング周りなど“支えに使いがちな場所”では注意が必要です。
キャスター付き家具による転倒事故の予防策
・ ロック機能付きを選ぶ

キャスター付き家具を選ぶ際は、必ずロック機能が付いているものを選びましょう。特に、ベッドサイドのワゴンや、手をつきがちなテレビ台などは、移動時以外は固定することで意図しない滑りを防いでくれます。
・ 床に滑り止めマットを敷く
キャスターをロックしても、床の材質によっては滑りやすいことがあります。滑り止めマットで安定性を高めましょう。
電動家具・昇降家具-手足の挟み込み事故に注意
電動リクライニングや昇降テーブルなどの電動家具・昇降機能つき家具は、使い方を誤ると手足の挟み込み事故につながります。スイッチの位置がわかりづらかったり、誤って操作してしまったりして、家具が突然動き驚いて転倒、動作部分に手や足を挟む事故など、思わぬ危険を招くことも。
電動家具・昇降家具による転倒事故の予防策
・ 動作前に周囲を確認する

電動リクライニングソファや昇降テーブルを動かす際は、物が置かれていないか、スペースが確保され危険ではないか、体が挟みこまないかなど確認することが大切です。指を挟みやすい隙間に、目立ちやすい色のテープやシールを貼って、注意する部分を目立たせるのも良いでしょう。
・ スイッチを分かりやすくする
スイッチの誤操作は事故の原因の一つです。
小さく分かりにくいスイッチや、家具と同化しているスイッチには、明るい色のカバーをつけたり、矢印シールで操作方向を示したりして、パッと見てわかるようにしましょう。例えば、電源ボタンや「どちらを押せば上がる/下がる」のかを明確にすることで、操作への不安を和らげ、迷いによる誤操作を防ぐことにつながります。
・ 自動停止機能や安全センサー付きの製品を選ぶ
電動家具・昇降家具の中には、上下昇降時に障害物や衝撃を感知すると、動作を自動で停止する機能や安全センサーが搭載されている製品もあります。あくまでも補助的な機能になりますが、怪我のリスクを軽減してくれるので万が一の際の安心につながるでしょう。
「転ばない」だけじゃなく、「安心して動ける」家へ

安全な住まいづくりというと、つい「転倒防止」に目が行きがちですが、実はその一歩手前にある、日常の小さな「ヒヤリ・ハット」を防ぐことが、何よりも大切です。指を挟む、家具にぶつかる、家具が動く、そんな“ちょっとしたヒヤリ”が、大きな事故につながることもあります。
家具を選ぶとき、配置を決めるときに「ぶつからない・挟まれない・動かない」この3つの視点を意識するだけで、安全性はぐっと高まります。一つひとつの家具に目を向け、小さな危険の芽を摘み取っていくほんの小さな工夫が、ご家族の“安心”につながります。
「これくらい大丈夫」と思う前に、ぜひご家族で話し合いながら、日常の中にある小さな危険を見直してみましょう。
【参照文献】
・消費者庁 高齢者の不慮の事故
・独立行政法人国民生活センター 医療機関ネットワーク事業情報からみた高齢者の家庭内事故
・一般社団法人 高齢者住宅協会 消費者庁:10月10日は転倒予防の日 できることから転倒予防の取組を!
