日本人は「座りすぎ」!座りっぱなしによる身体への影響と今すぐに行うべき対策

■座りっぱなしによる身体への影響と今すぐに行うべき対策

私たちの生活をよく振り返ってみると、座っている時間が多いことに気づく人は多いでしょう。実は、日本は「座りすぎ大国」。座りすぎることは、肩や腰の痛みだけでなく、その他にも様々な困った影響を及ぼすことが分かっています。座りっぱなしがどんな影響を招いてしまうのか、おすすめの対策とともにご紹介します。

■日本人が自覚すべき「座りすぎ大国」の現実

 「座りすぎは身体に良くない」と、なんとなく思っている方も多いでしょう。しかし、デスクワークの仕事をしている人など、どうしても座っている時間が長くなりがちですよね。

 また、デスクワークに就いていない人でも、仕事を終えて家に帰ると、パソコンやテレビ、スマホに夢中になって、知らず知らずのうちに座りっぱなしの状況に陥っているケースは少なくありません。

厚生労働省のリーフレット「座位行動」では、なんと調査対象となった20ヶ国のうち、最も平日の座位時間が長かったのは日本だったと示しています。

 

厚生労働省「座位行動」より

https://www.mhlw.go.jp/content/000656521.pdf

 

 この調査で分かったのは、日本人の座位時間の中間値はおよそ8時間であること。1日のうち9時間以上座って過ごしている人は死亡リスクを高めると言われていることから、とても重要な問題であることが分かります。

 

 ■「座ること」そのものが悪いわけではない

 ここで勘違いしてしまうのが、「座ること」そのものが悪いと思ってしまうことです。しかし、実際はそうではありません。一番の問題は、「座りすぎること」です。

 IT化の進む現代では、単に昔よりも便利になったと一言では済まされない問題が出てきました。仕事中は、さまざまな機器に無線でつながり、立ち上がらずとも用事が済む時代。家にいても、ロボット掃除機が活躍し、テレビや照明器具だってリモコンやスマホなどで操作できます。用事のためにその都度立ち上がる、という動作が減り、私たちは想像以上に動かなくなってしまっているのではないでしょうか。

 

 

■「座りすぎ」が招くさまざまな影響

座りすぎは、代謝の低下を招きます。ふだん、わたしたちは全身の筋肉を動かして血液を循環させていますが、座りっぱなしの姿勢では全体の7割を占める下半身の筋肉が動かず、血流や血中の脂質代謝が低下してしまいます。ふくらはぎは「第2の心臓」と呼ばれるほど、血液の循環を助けていますが、座りっぱなしの状態では運動している時よりも明らかに動いていませんね。

 代謝が低下すると、動脈硬化につながりやすく、高血圧や糖尿病、肥満など生活習慣病へのリスクも高まります。生活習慣病は、その先の脳卒中や心臓病、がんを引き起こす要因にもなり、心配が積み重なることに。その他にも、メンタルヘルスへの悪影響や、ご高齢の方には認知症のリスク増など、健康を損ねる1つのきっかけになる可能性があると言われています。

 

■運動しているから大丈夫?場合によっては要注意

「普段はデスクワークで動かないから、休日はしっかりジムで汗を流している」という人、多いのではないでしょうか。もちろん、定期的に運動する習慣があることは、とても良いことですよね。しかし、一時的な運動で満足してしまうと、それ以外の時間の過ごし方がおろそかになってしまう恐れもあり、注意が必要です。

 ひとときの集中的な運動に満足し、それ以外の時間を座ってばかり過ごす人のことを「アクティブ・カウチポテト」という言葉で表現するそうです。「カウチポテト」とは、ソファでダラダラと転がって過ごす人のことを指し、「アクティブ・カウチポテト」は運動した気になっているカウチポテトな人、という意味が込められています。

 日本では、1週間に420分、1日にすると60分の運動が推奨されています。週末に少しばかり身体を動かすだけでは、もしかするとこの数値に足りていない可能性もあるということです。

 

■大袈裟な運動に限らず「こまめな運動」が有効

 座りっぱなしの生活を送っている人や、アクティブ・カウチポテトになっている人は、何から始めれば良いのか迷いますよね。デスクワークの人にとっては、日頃の生活に運動の時間をつくるのが難しいと感じられるかもしれません。

 しかし、対処は意外と簡単な方法でも行えます。以下のポイントを意識して対策をしてみてはいかがでしょうか。

 

  • デスクワーク中は30分に1度ストレッチや足の上下運動
  • テレビを見ている時はコマーシャル中に軽い運動
  • テレワークならスタンディングデスクを導入
  • 階段で行ける場所は階段で
  • インターネットやスマホの使用時間を決める
  • ネットショップばかりに頼らず実店舗に出向く

 

デスクワークという環境下にあっても、以上のような運動なら今すぐに始めることが可能です。仕事に支障をきたすような運動をしなくても、30分に1度は立ち上がって少し散歩をしたり、足踏みをしたりするだけでOK。立ち上がることが難しいのであれば、足先をつけてかかとを上げ下げしたり、足をプラプラさせたり、膝上げをしたりなど、軽い運動はいくらでもできます。

 テレワークや、職場的に問題がなければ、スタンディングデスクもおすすめです。1日中立ちっぱなしで作業をするのではなく、昼食後の1時間や眠くなった時などに活用すると良いでしょう。わざわざ専用のものを用意しなくても、卓上に設置するだけで利用できるタイプもあるため、必要に応じて検討してみてはいかがでしょうか。

 

■座りっぱなしは「こまめな運動」で対処しよう

 日本人は、世界的に見ても座りっぱなしの時間が長いことが分かりました。それが当然な環境にいることで、自分も座りっぱなしになってしまうことは大きな問題です。ほんの少しだけ日頃の意識と行動を変えることが、座りっぱなしによる悪影響を予防することにつながります。ぜひ、おすすめの方法を取り入れてみてくださいね。