介護が必要な方のための椅子用クッションの選び方

自分で立ち上がったり、姿勢を直したりすることが難しい人が長時間椅子に座っていると、体のあちこちが痛くなることがあります。徐々に姿勢が崩れて窮屈な格好になることもしばしばあり、クッションを活用して楽にしてあげたい、と工夫している介護者の方もいるでしょう。

介護用のクッションには、様々な種類があります。しかし、意外と高価なものもあり、できれば失敗なく選びたいところですね。ここでは、介護が必要な方の椅子用クッションについて、選び方をご紹介します。

 

椅子用クッションの役割とは

元気な若い人からすれば、椅子用のクッションはお尻の痛みの軽減、くらいにしか必要性を感じないかもしれません。しかし、要介護者の方々にとっては、「座る」ということの快適性を左右する重要なアイテムになります。

麻痺があったり体力が低下していたりして、体がどうしても傾いてしまう方は、座ることそのものが苦しく大変かもしれません。クッションによって体の傾きが修正できれば、余計な力が入らず楽に長時間座ることも可能でしょう。

しかし、よかれと思ってあちこちにクッションを入れすぎると、逆効果になることもあります。例えば、座面に敷くクッションはお尻の痛みを緩和してくれるため便利です。しかし、厚みがありすぎて座面が高くなると、今度は足の裏が床につかず安定しなくなったり、机の高さが合わなくなったりしてしまうことも。

クッションを使う時は、目的に応じて適した種類のものを選び、要介護者の方々が楽に座れるように使うことが大事です。

 

固さから選ぶクッションのおすすめ活用法

介護用のクッションには、ほどよく固いものとやわらかいものがあります。形状や素材も様々ですが、今回は椅子に座る時に限定して選び方のコツを見ていきましょう。

 

車イスの座面には体圧分散性が高いものを

車イスの座面は、椅子とは違いクッション性に乏しいものもあり、座っているうちにお尻が痛くなる可能性があります。座っていても床ずれは発生するため、体圧分散性の高いものを選びましょう。ずれ落ちてしまわないように、マジックテープなどで固定できるタイプがおすすめです。

足や手に挟むのは柔らかいクッション

関節が固くなり、膝と膝の間や脇に何かを挟んだ方が良い場合は、柔らかくて形の変えやすいクッションがおすすめです。ブーメランのように曲がったタイプのものは、座っている時だけでなく横になっている時にも活用しやすいでしょう。皮膚に当たることを考慮して、表面はサラサラしている素材が安心です。

体をしっかり安定させたい場合はやや固めのクッション

椅子との隙間が大きく体が傾いてしまう場合は、左右の隙間をしっかり埋めて体を支えられるような固めのクッションを挟みましょう。低反発のものは、体圧分散性もあり使いやすいです。平たい低反発のクッションは、背もたれとの間に挟むこともできます。背もたれが固い・背もたれによりかからないと座るのがしんどいという場合には、活用してみてはいかがでしょうか。

 

椅子用の介護クッションを選ぶ際はここもチェック

介護クッションは、毎日長時間使うケースがほとんどです。いつも気持ちよく過ごすためにも、お手入れのしやすさも重要なポイント。できるだけ使い勝手の良いものを選ぶために、以下の点に注意して選びましょう。

 

1 カバーが外せる・丸洗いできる

いつも清潔に保つために、カバーを外して洗濯機で洗えるものを選びましょう。座面に使うものは特に汚れやすいため、簡単に洗えて速乾性があると便利です。体と椅子の間に挟むクッションなども、汗や唾液、食べこぼしなどで汚れることはよくあります。一般的にインテリアとして用いるクッションよりも、洗う頻度が高くなることを意識して選びましょう。

2 型崩れしにくいもの

介護用クッションは型崩れによって中身が片寄ると、思うように使えなかったり効果が得られにくくなったりする可能性があります。クッションビーズのように、自由自在に中身が動くタイプなら型崩れもしにくいですが、その他の素材に関しては耐久テストなどが行われているかどうか確認しながら選ぶと良いでしょう。

3 生地がサラサラでひっかからないもの

高齢になると皮膚が乾燥しやすくなり、少しの刺激でも傷や肌荒れの原因になります。最初は小さかった傷でも、寝たきり状態の方などは傷の治りが遅く悪化する可能性もあり、できる限り注意する必要があります。クッションカバーなどは、なるべくさらさらとした肌触りの皮膚に刺激を与えないものがおすすめです。

クッション選びに困ったらプロに相談するのもおすすめ

要介護者の方のクッション選びに困ったら、担当のケアマネジャーや関わりのある専門職に相談するのもおすすめです。特に、通所リハビリテーション等でリハビリ専門職と関わる機会がある方は、リハビリの観点から具体的なアドバイスがもらえるでしょう。担当のケアマネジャーや関わりのある専門職に相談するのもおすすめです。特に、通所リハビリテーション等でリハビリ専門職と関わる機会がある方は、リハビリの観点から具体的なアドバイスがもらえるでしょう。介護用のクッションは、一般的なクッションに比べて形状や素材が特別なものもあり、状態や用途に応じて選ぶことが大事です。椅子に座ることが難しい人でも、クッションの活用の仕方によっては負担なく座れる可能性があります。ぜひ、ご活用くださいね。